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2009年10月30日 (金)

有責配偶者からの離婚請求(最高裁判例)

 有責配偶者からの離婚請求について,もっとも重要な判決は
  最高裁昭和62年9月2日大法廷判決(民集41巻6号1423頁)
です。

 この判決は、初めて有責配偶者からの離婚請求を認める場合がありうることを示しました(それまでは認められていなかった)。

 この判決をどう理解するかというのは、今でも論争のあるところであり、法律上は難しい問題をはらんでいるといえます。

 一般的には、以下の3要件を示したものと要約されていることが多いですね。

1 別居が相当長期間に及んでいるか
2 未成熟の子が存在するか
3 相手方配偶者に離婚により精神的・経済的に極めて苛酷な状況に置かれるか

具体的にはこんな風に書いています。
 「夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、その間に未成熟の子が存在しない場合には、相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情の認められない限り、当該請求は有責配偶者からの請求であるとの一事をもって許されないものとすることはできないものと解するのが相当である。

 ところが、この判決はこの3要件を述べる前にこんな風に述べているのです。
 これと先ほどの3要件の関係ををどう理解するかということは、あいまいであり、3要件が完全に満たされなくても、離婚を認めている裁判例がでてきています。

有責配偶者からの離婚請求が信義誠実の原則に照らして許されるものであるかどうかを判断するには、次のような事情を考慮すべき。

 ・有責配偶者の責任の態様・程度
 ・相手方配偶者の婚姻継続についての意思及び請求者に対する感情
 ・離婚を認めた場合における相手方配偶者の精神的・社会的・経済的状態及び夫婦間の子、殊に未成熟の子の監護・教育・福祉の状況、 ・別居後に形成された生活関係(たとえば夫婦の一方又は双方が既に内縁関係を形成している場合にはその相手方や子らの状況等
が斟酌されなければならない)
 ・時の経過がこれらの諸事情に与える影響(時の経過とともに、これらの諸事情がそれ自体あるいは相互に影響し合つて変容し、また、これらの諸事情のもつ社会的意味ないしは社会的評価も変化することを免れないから)

 昭和62年最高裁判決後の最高裁判例で離婚請求が認められたものと認められなかったものをあげておきます。

 認められた判例
 ①最高裁昭和62年11月.24判決(家月40巻3号27頁,判時1256号28頁)
    別居期間約30年
 ②最高裁昭和63年2月12日判決(家月40巻5号113頁,判時1268号33頁)
    別居期間約22年
 ③最高裁昭和63年4月.7日判決(家月40巻7号171頁,判時1293号94頁)
   別居期間約16年
 ④最高裁昭和昭63年12月8日(家月41巻3号145頁)
  別居期間約10年3ヶ月
 ⑤最高裁平成2年11月8日(家月43巻3号72頁,判時1370号55頁)
  別居期間約8年
 ⑥最高裁平成5年11月2日(家月46巻9号40頁)
  別居期間約9年8ヶ月
 ⑦最高裁平成6年2月8日(家月46巻9号59頁,判時1505号59頁)
  別居期間約13年11ヶ月
 

認められなかった判例
 a 最高裁平成1年3月28日(家月41巻7号67頁,判時1315号61頁)
  別居期間約8年
 b 最高裁平成2年3月6日(家月42巻6号40頁)
  別居期間約11年

別居期間の長短がよく問題になりますが、それだけに限られず、多様な事情を考慮していきます。
この多様な事情をどう考慮し、訴訟に反映していくかが弁護士に役目となりますので、よく打ち合わせをして調停や訴訟に臨む事が必要となるでしょう。

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