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2009年11月

2009年11月30日 (月)

弁護士を依頼するかどうか

先日、千葉家庭裁判所の法廷で裁判官のこんな発言を耳にしました。

裁判官が、本人訴訟(弁護士をつけずに、当事者本人が行っている)している当事者に、
「これは、離婚の訴訟ではどなたにも申し上げていることですが」
と前置きした上で、
「離婚の訴訟は肉体的精神的に非常にきついですから、弁護士さんを依頼されて、弁護士さんにやっていただいた方がよいと思います」
と述べていました。

裁判官としては、なかなか丁寧なものいいで(女性裁判官でした)、好感が持てました。

裁判官によっては、
「あなたね、弁護士をつけたほうがいいですよ。大変ですから」
とか、
「弁護士をつけなさい。弁護士会に行けば紹介してくれますよ」
くらいしか言わない人もおりますので、やはり言い方というのは重要だと再認識した次第です。

弁護士を依頼するかどうか迷われる方もおられると思いますが、少なくとも訴訟となる場合は、弁護士を依頼された方がよいです。

私は、調停の場合でも、弁護士がついたほうがよいと考えていますが(調停委員の態度が変わります)、訴訟となれば、当事者に有利なものは自分で提出していくほかありません。

その意味で、弁護士への依頼は早めに考慮された方がよいと思います。

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2009年11月26日 (木)

有責配偶者からの離婚請求がなぜ制限されるのか?

 有責配偶者からの離婚請求が制限されることについては、ご存知の方が多いようですが、なぜ制限されているのでしょうか。

初めて有責配偶者からの離婚請求を認める場合がありうることを示したのは、最高裁昭和62年9月2日大法廷判決(民集41巻6号1423頁)
ですが(この点については→過去記事)。

 この判決は、なぜ有責配偶者からの離婚請求が制限されるかの理由についても述べています。

 最高裁昭和62年判決は、まず、婚姻の本質というものから考えています。

 「婚姻の本質は、両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもつて共同
生活を営むことにあるから、夫婦の一方又は双方が既に右の意思を確定的に喪失するとともに、夫婦として
の共同生活の実体を欠くようになり、その回復の見込みが全くない状態に至つた場合には、当該婚姻は、も
はや社会生活上の実質的基礎を失つているものというべきであり、かかる状態においてなお戸籍上だけの
婚姻を存続させることは、かえつて不自然であるということができよう。」

婚姻関係が破綻した場合は、離婚を認めることもやむをえないという判示です。
しかし、その後で、離婚を訴訟で認める場合は、一定の制限をかけることが必要だということを述べています。

「しかしながら、離婚は社会的・法的秩序としての婚姻を廃絶するものであるから、離婚請求は、正義・公平の観念、社会的倫理観に反するものであつてはならないことは当然であつて、この意味で離婚請求は、身分法をも包含する民法全体の指導理念たる信義誠実の原則に照らしても容認されうるものであることを要するものといわなければならない。」

判決文ですから、難しく書いていますが、ポイントは、
「正義・公平の観念、社会的倫理観に反するものであつてはならない」 
「信義誠実の原則」
というところでしょうか。

くだけていえば、「裁判所の目から見て、あまりにこれを離婚させてしまうのはひどいんじゃないという場合は、離婚は認めませんよ」
ということです。

では、どんな場合に有責配偶者からの離婚が許されて、どんな場合に許されないのかという問題が起きますが、それは過去記事で書きましたので、そちらをご参照ください。
こちら

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2009年11月23日 (月)

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2009年11月19日 (木)

有責配偶者とは?

 以前、有責配偶者からの離婚請求について書きましたが、
http://houritu-daichi.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-61ae.html
 そもそも、有責配偶者とは何?という問題には答えていませんでした。

 有責配偶者とは、
 「民法770条1項5号所定の事由による離婚請求がその事由につき専ら又は主として責任のある一方の当事者」をいうとされています(たくさんの判例がありますが、例えば、最高裁平成16年11月18日判決家月57巻5号40頁)。

民法770条1項5号というのは、
 「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」
をいいます。
 これは、婚姻関係が破綻したことを意味しますから、有責かどうかを決めるにあたっては、まず婚姻関係が破綻しているといえなければなりません。

例えば、最高裁平成16年11月18日判決(家月57巻5号40頁)の原審(高裁判決)は次のように判断しています。

(1)が婚姻関係が破綻していること
(2)が有責性の判断です。

原審は,前記の事実関係の下において,次のとおり判断し,被上告人の離婚請求を認容し,長男の親権者を上告人と定めた。
(1) 上告人(妻)は,離婚を拒絶しているが,それは,法律的な婚姻関係の継続により経済的な安定を維持できるからであって,被上告人(夫)に対する情愛によるものではなく,被上告人と同居して生活する意思はないこと,被上告人が上告人及び長男と別居してから約2年4か月が経過しており,その間,被上告人は長男とさえ会っておらず,家族としての交流がないこと等を併せ考慮すると,上告人と被上告人とが,将来,婚姻関係を修復し,正常な夫婦として共同生活を営むことはできないものと解され,その婚姻関係は既に破たんしており,民法770条1項5号所定の事由があるというべきである。
(2) 被上告人は,遅くとも平成12年7月ころから,Aと性関係にあったものと推認されるのであり,これが婚姻関係破たんの原因となったことは明らかであるから,被上告人は,上記破たんにつき主たる責任があるというべきである。
(3) しかしながら,上告人は,かなり極端な清潔好きの傾向があり,これを被上告人に強要するなどした上告人の前記の生活態度には問題があったといわざるを得ず,上告人にも婚姻関係破たんについて一端の責任がある。これに加えて,上記のとおり,上告人と被上告人とは互いに夫婦としての情愛を全く喪失しており,既に別居生活を始めてから約2年4か月が経過していること,その間,上告人,被上告人夫婦間には家族としての交流もなく,将来,正常な夫婦として生活できる見込みもないこと,上告人の両親は健在であり,経済的にも比較的余裕があること等の点を考慮すると,被上告人が不貞に及んだことや上告人が子宮内膜症にり患しているため就職して収入を得ることが困難であることを考慮しても,被上告人の離婚請求を信義誠実の原則に反するものとして排斥するのは相当ではないというべきである。

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2009年11月16日 (月)

離婚原因としての「破綻」

前回、夫婦関係の破綻について書きました。
http://houritu-daichi.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-4f4e.html

破綻というのは、
「夫婦が婚姻継続の意思を実質的に失っており、婚姻共同生活を回復する事が不可能であると客観的に判断できるような状態のこと」
です。

では、具体的にどういうケースが破綻と認定されるのか。
最高裁平成16年11月18日判決(家月57巻5号40頁)でとりあげられたケースを紹介します。

 判決は以下のとおりです。

 上告人(妻)は,離婚を拒絶しているが,それは,法律的な婚姻関係の継続により経済的な安定を維持できるからであって,被上告人(夫)に対する情愛によるものではなく,被上告人(夫)と同居して生活する意思はないこと,被上告人(夫)が上告人(妻)及び長男と別居してから約2年4か月が経過しており,その間,被上告人(夫)は長男とさえ会っておらず,家族としての交流がないこと等を併せ考慮すると,上告人(妻)と被上告人(夫)とが,将来,婚姻関係を修復し,正常な夫婦として共同生活を営むことはできないものと解され,その婚姻関係は既に破たんしており,民法770条1項5号所定の事由があるというべきである。

判決文をかみ砕いて説明すると
1 妻は、離婚をしたくないといっているけれど、夫と一緒に住む気はない
2 妻は離婚をしたくないといっているけれど、それは法律上結婚しているということで、経済的な安定を維持できるからだ
3 別居期間は約2年4ヶ月になっている
4 別居期間中に家族の交流はない

以上からすると、将来,婚姻関係を修復し,正常な夫婦として共同生活を営むことはできないと判決は認定しています。

このような状態を「破綻」と認定しているわけです。

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2009年11月13日 (金)

「婚姻を継続し難い重大な事由」

以前、「離婚原因」という記事で離婚裁判で離婚が認められる場合について書きました(→過去記事

離婚原因の条文をもう一度あげておきましょう。
(裁判上の離婚)
第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

問題は、「婚姻を継続し難い重大な事由」です。

過去記事では、”婚姻関係が破綻した場合”と簡単に説明しましたが、もう少し検討を加えておきます。

最高裁では、「婚姻を継続し難い重大な事由」を
 「夫婦が婚姻の目的である共同生活を達成しえなくなり、その回復の見込みがなくなつた場合」
をいうとしています(最高裁昭和62年9月2日大法廷判決(民集41巻6号1423頁))。

少しわかりやすくなりましたが、まだ抽象的ですね。

ある学者さんの説明では、
 これは、「破綻」のことであり、破綻というのは、
「夫婦が婚姻継続の意思を実質的に失っており、婚姻共同生活を回復する事が不可能であると客観的に判断できるような状態のこと」
としています(内田民法Ⅳ)。
 
 その原因として
・浪費癖や怠惰
・何らかの病気
・性的欠陥
・性格の不一致
をあげています。

 ただ、これらがあるとしても、いきなり破綻と裁判所が認めるわけではありません。
 
 夫婦間の協力、扶助、同居義務、あるいは夫婦相互の信頼関係が保たれているかを考慮して破綻を認定していきます。

 このように「婚姻を継続し難い重大な事由」を主張立証していくのは多様な要素を考慮しなければならず、訴訟になってしまえば、本人だけで行うのはなかなか困難であり、弁護士を依頼するのがよいと思います。

もっとも、弁護士もこの辺の理屈をしっかりわかっているかどうか、怪しい人がいるのも事実で、夫婦の離婚の経緯を全て羅列的に書けばよいのだろうと思っている弁護士が少なからずいます。

ですから、弁護士に依頼するときは、弁護方針をきちんと聞いて、どのような見通しを弁護士がもっているのかを聴取するのがポイントです。

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2009年11月11日 (水)

有責配偶者からの離婚請求を認めず(東京高裁平成20年5月14日判決)

有責配偶者からの離婚請求について、
 一審と二審で結論が異なったケースを紹介します(二審で離婚請求を認めず)。

東京高裁平成20年5月14日判決(家月61巻5号44頁)です。

(事実関係の概略)
昭和53年 婚姻
 夫の実家に同居するが、夫の母は,妻に対し,事ある毎に,「家柄が違う。被告は財産目当てで原告をたぶらかした。○○家の嫁として相応しくない。」などと言い,また,家事をすべて妻にさせるなどした。

 長男出生(口蓋破裂等の障害を持って生まれた)。
 夫の母は「○○家はそんな家系ではない。」などと露骨に嫌がり,妻を責めるとともに,夫も,長男を一切寄せ付けず,だっこしたり膝の上に乗せたりして触れ合うことをしないなど,邪険に扱った。

 その後、夫婦は、夫の実家からは一時独立して暮らしていたが、昭和61年夫の実家に戻った。

 夫や夫の母は、二男が生まれると,健常者である二男だけをかわいがり,長男とあからさまに差別した扱いをするようになった。

 平成5年、夫らの態度に耐えかねたので、子どもを連れて別居するため,離婚を求める調停を申し立てたが,夫は養育費の支払を拒否。

 同年,妻は別居し、子ども3人は、夫側が育てることとなった。

 平成17年,妻は夫に対し,婚姻費用の支払を求める調停を申し立て,婚姻費用として月額14万円を支払うという調停が成立した(妻別居から、この調停までは婚姻費用は支払われず)。

(東京高裁の理由)
東京高裁が離婚を認めなかった理由をまとめると次のとおりです。

1 夫は,平成5年×月に別居を始めてから,婚姻費用分担に関する調停が成立するまで,12年間、妻に対して婚姻費用を支払わなかった。
2 妻の唯一の収入は、夫からの月額14万円の婚姻費用分担金である。
3 妻には資産も,安定した住居もない。
4 妻は高齢であり、更年期障害,腰痛及び抑うつ症の疾病を患い,新たに職に就くことは極めて困難である。
 このような状況からすると、離婚を認めた場合、妻は、夫から婚姻費用分担金の給付を受けることができなくなり,経済的に困難に陥る。
5 長男には,生まれつきの身体的障害があり、妻が面倒を見る必要がある。
 夫は、訴訟上は、自分が面倒を見ると行っているが、今までの経緯からして夫が長男の生活の面倒をみることは考えられない。

 これだけ見てきますと、東京高裁が離婚を認めなかったのは当たり前のように思われるでしょう。
 注目すべきは東京家裁(離婚を認めた)の方かもしれません。

 詳細は、判決文を引用しておきますが、婚姻関係は既に破綻しているのだし、離婚に伴っての経済的問題は別に妻に支払いがなされる事で解決されるべきとの考えにたっています。
 

(東京家裁の論理)
  原告(夫)は,有責配偶者と認められるものの,不貞行為をしたとか,暴力を振るったということではなく,原告の母からの言葉等による嫌がらせや原告の長男に対する冷たい姿勢等に被告が悩んで家を出たものである。また,経済的な事情からとはいえ被告は長男らを置いて家を出ていったものであり,別居後の原告の監護態勢には,長女からすると小遣いをくれないとか,長男に対する態度が相変わらず冷たいものであった等の問題点はあるものの,原告は,母の助力も得ながら,学費,生活費等をすべて負担しながら,3人の子を成人するまで監護養育してきた。そして,現在では,いずれも成人し,長男は問題があるものの,長女は結婚し,二男は大学に在学しているのであって,離婚が直接子らの福祉に影響するという問題もない。
 原告と被告(妻)との別居期間は,すでに13年近くなっており,それまでの同居期間(約16年間)に比べると短いものの,相当の長期間に及んでいる。
 被告は,今離婚となると,被告が経済的に苛酷な状況に置かれると主張しているけれども,後記のとおりの経済的な給付が行われれば,必ずしも被告が苛酷な状況になるわけではなく,原告の経済的能力からすると,支払確保の可能性も高い。
 これらの諸事情を総合して判断すると,原告が有責配偶者であるからといって,その離婚請求を認めることが,信義誠実の原則に反するとまではいえない。

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2009年11月10日 (火)

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2009年11月 9日 (月)

有責配偶者と婚姻費用分担調停

離婚に際して問題となるものに、
 婚姻費用
があります。

 婚姻費用についての裁判例をみていくと、こんな傾向があります。

① 有責配偶者からの婚姻費用分担請求は信義則に反し許されない(最高裁平成17年6月9日決定 家月58巻3号104ページ;福岡高裁宮崎支部平成17年3月15日決定への許可抗告を棄却したもの)。
② 有責性があるとしても、申立人に相手方を凌駕するような有責性が認められないときは、相手方は、婚姻費用の分担義務を免れない(福岡高裁宮崎支部昭和62年
1月12日決定 家月39巻10号86頁)

 ①は、例えばこんなケースです。
 「妻が、自分から他の男を作り、家をでていってしまった。
 妻は無収入なので、夫(夫には全く責任がない)に対して、婚姻費用分担請求をしたが、請求が認められるか?」
このケースについて、
 自分で原因を作ったこんな妻に婚姻費用を認める必要はないというのが、最高裁の考え方です。

 では、請求する方が有責である場合、婚姻費用分担請求は全くできないのかというと、そんなことはないというのが、②の裁判例です。
 これは、例えばこんなケースです。
 「夫が先に、女を作った。
 妻は、その後、ある男性と関係を持っているが、その男性と同居はしていない。
 妻は無収入なので、夫に対して、婚姻費用分担請求をしたが、請求が認められるか?」
このケースについて、
 妻にも責任がないとはいえないが、夫の方が責任が重いから、婚姻費用分担請求を認めるべきだというのが、②の福岡高裁の決定です。

 では、婚姻関係が破綻している場合に婚姻費用をどの程度分担する義務があるのかという点については、裁判例もわかれており、法律上決着していないところなのですが、
②で紹介した福岡高裁宮崎支部昭和62年 1月12日決定は、
「婚姻関係が破綻している場合でも、相手方に相当の余裕があるときは、両者が円満に同居していた場合と同一の生活程度を維持するに必要なものであることは要しないとしても、通常の社会人としての生活をするに必要な程度の婚姻費用の分担義務がある」
としており、参考になります。

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2009年11月 6日 (金)

財産分与~婚姻費用の清算

財産分与を決めるに当たって、婚姻費用の清算をすることができます。
夫が離婚までに生活費を支払っていない場合は、夫は、離婚に際して婚姻費用を清算しなければなりません。

婚姻費用とは、離婚までの生活費です。

以前、参照したことのある
東京高裁平成12年 3月 9日判決
で、この点について考えてみましょう。

 考慮要素として、東京高裁判決は、まず、当事者双方の収入を考慮しています。
 
 夫側・・・月額約49万円(交通事故の休業損害ないし逸失利益相当の金員)
 妻側・・・月額約9~10万円

 次に、妻側の生活費について検討しています。

 妻及び子供二名の生活費・・・最低でも月額約28万円(長男が大学生、長女も高校に進学)

 以上から、夫側の負担すべき婚姻費用は
  毎月15万円
とし、財産分与として700万円を認めています

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2009年11月 4日 (水)

交通事故の被害者と財産分与(東京高裁平成12年 3月 9日判決)

以前、
交通事故で得た損害賠償金と財産分与
http://houritu-daichi.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-d61b.html
ということで、記事を書きました。

 そこでは、大阪高裁決定を紹介しました。

大阪高裁平成17年 6月 9日決定(家月 58巻5号67頁)。
(結論)
交通事故の損害賠償金のうちの
 慰謝料部分→財産分与の対象にならない。 
 逸失利益部分→財産分与の対象になる(ただし、離婚後の逸失利益相当額については財産分与の対象にならない)

この大阪高裁決定では、慰謝料と逸失利益について判断しているのですが、交通事故との絡みでそのほかの点についても判断している裁判例をみかけましたので、紹介します。

東京高裁平成12年 3月 9日判決(ウエストロージャパンのオンライン判例搭載~会員限定)
(結論)
休業損害→財産分与の対象になる
年金(障害厚生年金及び国民年金の障害基礎年金)→財産分与の対象にならない
治療費、付添看護費、入院雑費、看護交通費及び器具等購入費→財産分与の対象にならない

 おおむね妥当な結論かとは思いますが、付添看護費を財産分与の対象とならないとしたことは、個別のケースに応じては問題があるかもしれません。

 この判決では、「付添看護費などは、現実の出捐に対応し、これを補填するものであって、財産分与の対象とはならないことは明らかである。」としているのですが、交通事故では、家族介護を付添看護費として算定するので、この場合、実際の費用としては支出されていないので、東京高裁の理屈からは外れてしまうからです。
 
 この点は、今後の課題かもしれません。 

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2009年11月 2日 (月)

調停委員の報酬など

 調停委員の報酬については、以前記事にしたことがありますが(→過去記事)、その後さらに調べてみましたら、最高裁のHPに色々とでていることがわかりました。

http://www.courts.go.jp/saikosai/about/iinkai/asu_kondan/asu_kyogi6.html 

 以下では、この内、私の興味関心のあるところを紹介していきます。

報酬にについての回答
(最高裁)
非常勤の国家公務員という身分になる。1日当たり約1万7000円の手当プラス交通費を支払っている。

調停委員の手当てにあてたられる年間予算
(最高裁)
調停委員の年間の手当は,100億円強である。地裁と簡裁における紛争は,訴訟手続と調停手続と半々で解決している。

公募はしているか
(最高裁)
新聞募集はしていない。関係機関に対し,機会ある毎に調停委員の推薦依頼をしている。新聞等に より募集しないのは,調停が,難しい状況で双方の言い分を聞いて説得していくという手続であり,経験や人間性が重要な要素であるため,関係機関に推薦を依 頼している。地域によって応募者数が異なるので,不合格率については把握していない。ちなみに,東京家裁では,毎年60名ないし70名を選任しているが, その際,選任を見送られた人はいると思う。僧侶や牧師といった宗教家の割合は,3.1パーセントである。

裁判所が調停委員を選ぶにあたって、団体に推薦依頼をしているのだが、具体的にはどういった団体に推薦依頼をしているのかという質問に対する回答
(最高裁)
地方公共団体,弁護士会,司法書士会,商工会議所,大学等である。臨床心理士の資格を有している調停委員はいるが,そうした団体に推薦依頼しているかは把握していない。

調停委員の任期、定年について
(最高裁)
調停委員の任期は2年で,再任は可能である。年齢は原則として70歳までとなっている。

調停委員は,何人いるのか。
(最高裁)
民事の調停委員が約1万3500人,家事の調停委員が約1万2000人だが,兼ねている人もいるので,約2万人である。

調停に対する最高裁の評価
(最高裁)
裁判所の予算は約3100億円から約3200億円であるが,そのうち約100億 円が調停委員の報酬である。コスト効率のよい紛争解決手段といえる。実行満足度も高い。癒しの効果もある。外国から日本の裁判所の見学に来る人の中には, 調停を見たいという人が多い。

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