住宅ローンがある場合の婚姻費用
離婚に際しては、婚姻費用の分担請求が問題になってきます。
婚姻費用というとわかりにくいですが、「生活費」と考えていただければほぼ間違いないです。
住宅ローンがある場合に婚姻費用をどう考えるかという問題点があります。
この点について、
広島家裁 平成17年 8月19日 審判(判例タイムズ1208号93頁)
が参考になります。
結論
1 夫が負担している自宅ローンは婚姻費用の特別経費としては考慮しない
2 もっとも、夫がローンの負担をすることで,妻側の住居費の負担がなくなるという側面もあることは考慮する。
夫が負担している自宅ローンは婚姻費用の特別経費としては考慮しない理由ですが、
1 夫の自宅ローンは夫自身の負債の返済である
2 自宅ローンを支払うことで住宅は夫の資産となる
ことがあげられています。
つまり、自分のもともとの債務なのだから、それを自分で支払うのは当然でしょう、それにローンを支払うことで、最終的に住宅はご自分のものになるんだから、そういう意味では、「特別経費」としては、婚姻費用から差し引きはしませんよ
けれども、、実際、妻側に住居費の負担が無くなるという側面はありますから、その点は考慮しますよ
という考え方です。
それでは、そのくらい考慮するかというと、このケースでは、
算定表で算定すると、概ね月額21万円から23万円の範囲になるけれども、住宅ローンを負担していることを考慮して、下限である月額21万円が相当である
としています。
考慮するといっても、この程度の考慮となります。
しかも、この審判では、「将来,申立人が自宅から退去を強いられた場合には,その時点で婚姻費用増額の理由となりうると考えられる。」と明言しています。
住宅ローンを負担している側(多くは夫側でしょうが)からすると、住宅ローンも支払うし、そのほかに婚姻費用も支払わなければならないというかなり経済的にはきつい結果をとなります。
このような結果を招くことから、離婚に当たっては住宅ローンをどうするかという問題が生じます。
この問題は、住宅ローンがいわゆるオーバーローン状態(住宅を売却しても売却益がでない状態)のときに深刻な問題を生じます。
離婚という側面だけでは、問題解決ができず、一種の債務整理の問題を生じますので、この点についての慎重な考慮を要します。
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