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2010年7月

2010年7月20日 (火)

夫婦共有財産の持ち出し

 離婚前提で別居したときに、妻が夫の財産の一部を持ち出すということはよくあることですが、このようなときに、夫は妻に対して損害を被ったとして損害賠償請求ができるでしょうか。

 このようなことが問題となったケースとして、
  東京地裁平成 4年 8月26日判決(家月 45巻12号102頁、判タ 813号270頁)があります。

 同判決は、
  基本的には、損害賠償請求は認めない
としています。
 なぜ損害賠償請求を認めないのかといえば、夫婦で築いてきた財産は夫婦共有財産であって、財産分与で決着をつけるべきだからということになります。

 その箇所を引用します。
 
 「民法七六二条一項によれば、婚姻中一方の名で得た財産はその特有財産であるとされているが、夫婦の一方が婚姻中に他方の協力の下に稼働して得た収入で取得した財産は、実質的には夫婦の共有財産であって、性質上特に一方のみが管理するような財産を除いては、婚姻継続中は夫婦共同で右財産を管理するのが通常であり、婚姻関係が破綻して離婚に至った場合には、その実質的共有関係を清算するためには、財産分与が予定されているなどの事実を考慮すると、婚姻関係が悪化して、夫婦の一方が別居決意して家を出る際、夫婦の実質的共有に属する財産の一部を持ち出したとしても、その持ち出した財産が将来の財産分与として考えられる対象、範囲を著しく逸脱するとか、他方を困惑させる等不当な目的をもって持ち出したなどの特段の事情がない限り違法性はなく、不法行為とならないものと解するのが相当である。」

 さきほど、
 基本的には、損害賠償請求は認めない
と申し上げましたのが、当然例外があります。

a 持ち出した財産が将来の財産分与として考えられる対象、範囲を著しく逸脱する
b 他方を困惑させる等不当な目的をもって持ち出した
ときには、損害賠償を認めることになります。

ですから、
 当面の生活費ということで持ち出した場合→損害賠償請求は認められない(この判決によれば)
 どさくさに紛れて夫の財産を全部持ち出した場合→損害賠償請求は認められる
ことになるでしょう。


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