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2016年9月

2016年9月24日 (土)

DV保護命令事件の現状

DVに対して裁判所に保護命令申立てができるというのは、一般的にだいぶ知れ渡っているように思います。
平成20年代になると、年間で3000件を超える申立て件数があります。

申立てに対して、「却下」つまり、裁判所が申立てを認めない件数は年間150件程度なので、却下率は5%くらいということになります。これをみると、申立ては概ね認められるのかと思ってしまいますが、そうでもありません。「取下げ」が結構あるからです。「取下げ等」は年間500件程度あります。申立て件数の6分の1です。却下とあわせると650件となり、20%以上が認められないということになっています。そうだとすると見方が変わります。5分の1くらいは認められないこともあるんだなと。

裁判所のホームページをみると、「保護命令の申立ては容易にできる」「1件につき1000円の定額の手数料で申し立てることができます」と、どんどん申立てて下さいと言わんばかりの文章が並べたてられています。
そのこと自体は間違いではありません。早急に申し立てなければならない場合もあるでしょう。弁護士を探すよりは、申立てた方が早いというケースの方が多い場合もあるかと思います。

しかし、保護命令申立てを出しても、それで終わりというわけではありませんし(6ヶ月の接見禁止命令が原則)、申立てても却下ないし取下げに追い込まれることも5分の1程度あるわけです。
そういうリスクに備える為には、弁護士に早くから相談して、今後のことや却下等になった場合に備えて対策をとっておいた方がよいのです。

申立てがどんな場合に却下になるかということについて、ある裁判官はこう発言しています。

「暴力が本当にあったかどうか疑わしい事例がたまにある。医師の診断書や証拠の写真もなく、あざも残っていないし、相手方も暴行を認めていない。お互いの言い分を聞いても、やはり、暴力があったと認定するのが難しいという場合があり、そのような事例では申立てが却下されることがありうる(平成28年2月23日の千葉地裁委員会での裁判官の発言)。」

つまり、医師の診断書や写真という証拠がない、相手方も暴力を認めないケースでは、暴力を認定できないということです。
こういうケースは、それなりにあるのではないかと思いますし、それが20%程度申立てが認められないことに表れているのです。
裁判所ホームページの表向きの言葉だけをみるのは危険です。


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2016年9月 2日 (金)

交渉か調停か

裁判所にはできるだけ行きたくない、交渉で終わらせてほしいというご要望を多くいただきます。弁護士としてはこんな風に考えています。よくある会話をまとめてみました。

(依頼者)「離婚のことでもめているんですが、調停とかにはしたくないんです。できるだけ交渉で終わらせたいんですが可能でしょうか?」

(弁護士)「ご要望はわかりました。交渉で進めたいというご意向なのですね。ただ、調停を絶対にしないという考え方ですとデメリットもあるものですから、その点は知っておいていただきたいと思います。」

(依頼者)「交渉だけではうまくいかないのでしょうか?」

(弁護士)「お話しを伺っていると、相手の方はだいぶ頑固な方のようですね。当時者同士でもお話し合いはだいぶされてますが、途中から話しが堂々巡りになってしまっているようです。このような状況で弁護士が間に入った場合、交渉がうまくいくこともありますし、そうでない場合もあります。」

(依頼者)「交渉というのは、どんな風に進めていくのでしょうか?」

(弁護士)「会ってお話しするということは、ほとんどありません。面とむかって話していくと相手の方も感情的になって行くこともありますから、冷静な話し合いができないことがあります。また、やりとりも書面で残らないですから。手紙など文書でやりとりすることが多いです。」

(依頼者)「そうなんですね」

(弁護士)「交渉がうまくいくかどうかという点ですが、弁護士が法律上はこうなりますと言って、そうなんですね、わかりましたとなれば、交渉はスムースに進みます。昔ですと、そういうこともあったのですが、今はなかなか簡単には応じてくれない方も多いです。」

(依頼者)「なぜでしょうか?」

(弁護士)「法律というのは、明確に決まっているところもあるのですが、そうでない部分も沢山あるのです。割りと曖昧な部分もあって、解釈が分かれている、判例でも決まっていないということもあります。今はインターネットで検索すれば、そういうことも分かってしまいますから、そう簡単に弁護士のいうことも聞いてもらえません。」

(弁護士)「また、法律で明確に決まっていても、『そんなことできない』といわれることもあります。例えば、婚姻費用の請求は双方の年収でほぼ決まるのですが、それをもとに例えば10万円を請求したとしても、そんなにお金がない、といわれて拒否されるということもあります。
交渉で進めていこうと思っても、壁に突き当たってしまうことがあるのです。打開するには調停などの法的な手段を取っていく必要があるのですが、交渉しか選択肢がないとすると、壁に突き当たってしまうということになってしまうのです。
まずは交渉をしてみます。それでも、相手方が動かなければ、調停を申し立てることを考えていただくこともありますので、よろしくお願いします。」

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