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2017年2月

2017年2月27日 (月)

裁判所の調停

家庭裁判所での調停について考えてみましょう。

裁判所のサイトでは、調停についてこんな説明をしています。
”調停とは,私人間での紛争を解決するために,裁判所(調停委員会)が仲介して当事者間の合意を成立させるための手続です。”

離婚調停を例にします。夫婦間で離婚について争い、つまりは意見の食い違いがある。意見の食い違いがお互いの交渉では収まらないというときには、裁判所が仲介する調停という制度がありますよという説明ですね。

ここで重要なのが、”意見の食い違いがお互いの交渉では収まらない”という点。裁判所に持ち込まれるケース=相対交渉では合意が成立しなかったケースということです。つまり、当事者では解決困難なケースが裁判所に申し立てられます。

それをどうやって”当事者間の合意を成立させる”のか。当事者間では合意が成立しないのに、裁判所が仲介すると合意が成立する(離婚調停の成立率は45%くらいだそうです)のは、不思議だと思いませんか。

裁判所のサイトでは、”調停委員は,当事者と一緒に紛争の実状に合った解決策を考えるために,当事者の言い分や気持ちを十分に聴いて調停を進めていきます。”と書いていますが、これだけで合意が成立するわけありません。

双方の言い分に調停委員がただ頷くだけだったら、議論は平行線のまま進むに決まっています。それを合意に導くのは、双方または一方をうまく誘導していくからです。もっと露骨に言えば、圧力をかけていくからです。

調停委員の誘導、バイアスの掛け方というのは実に巧妙です。そのテクニックはいろいろありますが、基本的には、説得しやすい方に誘導・バイアスがかけられます。

調停委員がこちら側の見方に沿ってくれることもあります。その場合は、これほど楽なことはありません。この場合は弁護士などいりません。弁護士役を調停委員が十分に果たしてくれるからです。しかし、調停員が一方の流れにのるということは、他方には逆の流れになります。

こうなると調停はかなり苦しくなります。ご相談をお聞きしていると、「もう二度と調停なんてやりたくない」と言われる方があるのですが、これは調停委員が自分の見方にのってくれなくて、相当説得された場合になりがちです。

こういう場合には弁護士に同席してもらって、調停委員に対抗できるようにしたほうがよいかと思います。少なくとも、調停委員の圧力に直接晒されないだけ、楽にはなります。

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2017年2月19日 (日)

不貞をしていること=有責配偶者とは限りません

「有責配偶者」となると、法律上いろいろ難しい問題が生じます。
「有責配偶者」になってしまうと、離婚が認められるのがかなり厳しくなるのですよね。判例上は、相当長期の別居(少なくとも5年以上)、未成熟子がいないこと、配偶者が精神的・経済的過酷な状況とならないことの3つの要件が必要です。

「有責」の代表例は不貞ですね。ただ、一方の配偶者が不貞をしたからといって、「有責配偶者」にあたるかというと、そうでもない場合もあるというのが、法律実務の難しいところです。

まず、不貞を立証できるのか?という問題があります。証拠によって不貞を証明する必要があります。相手が不貞を認めてくれればよいのですが、そうやすやすと認めない場合もありますから、証拠が必要です。

不貞の立証のほかにも、こんな問題があります。自分の方にも、離婚原因となるような責任がないのか、という問題です。例えば、夫のほうが暴力・暴言をまずしてしまって、それで妻が不貞をしたというような流れだと、夫にも妻にも離婚の原因がありそうです。

こういう場合に、妻は「有責配偶者」となるのでしょうか?私は、ならないと思います。「有責配偶者」とは、”離婚原因につき専ら責任のある一方当事者”のことをいいます。「専ら」というのがポイントです。先のケースでは、夫がまず暴力を奮っていますから、夫にも責任があるともいえます。

もちろん妻も不貞をしてしまっているので、責任はありますから、双方に離婚原因があります。こういう場合は、どちらも「有責配偶者」とはいえません。このように離婚原因が配偶者のどちら側に主にあるのかがポイントなので、「双方ともに有責配偶者」という状態はないことになります。つまり、離婚原因が相手にもあるので、離婚は認められます。

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2017年2月 5日 (日)

配偶者の収入をどうやって調べるか(含;潜在的稼働能力)

婚姻費用や養育費の請求では、配偶者双方の収入が問題となります。

世の中にはいろいろな方がいて、中には、配偶者に全く収入を教えないという人もいますが、こういう場合は、なかなか困ってしまいます。

市役所で、所得証明とか課税証明という名前で、収入の証明書を発行してもらうことができる課があるのですが(市民税課)、ここで配偶者の所得証明を取得できれば、この問題は解決します。

ただ、別居して住民票が別にしてあると、この所得証明書というものは取ることができない扱いになっているので、その場合は配偶者の収入をどのように考えるかという難しい問題がでてきます。

配偶者が会社に勤務しているのであれば、会社に照会するという手がなくはないですが(回答してくれるかどうかまでは保障できませんが)、自営業者とすると打つ手が限られてきます。

また、この間までは働いていたけれども辞めてしまったというような場合はどうするのかという問題もあります。

こういう場合に、潜在的稼働能力論という考え方があります。これは、 実際には働いていないのに統計(賃金センサス)を用いて収入を認定する手法をいいます。

しかし、この潜在的稼働能力論を、安易に用いるなという決定がでてしまいました(東京高裁平成28年1月19日決定・判例タイムズ1429号)

 原審(東京家裁立川支部)は、元夫(子からみて父親)の収入を賃金センサスを用いて認定したのですが、東京高裁はこれを取消し、立川支部に差し戻しました。養育費は実際に得ている収入で算定するのが原則という立場からです。
東京高裁は、潜在的稼働能力論を用いるのは例外だと。例外に当たる場合は限られているから、それに当たるかどうかきちんと判断しなければいけないよ、立川支部の審判はそれをしてないじゃないか、といっているのです。

 難しい表現になっていますが、東京高裁が述べるところをあげておきます。
「養育費は,当事者が現に得ている実収入に基づき算定するのが原則であり,義務者が無職であったり,低額の収入しか得ていないときは,就労が制限される客観的,合理的事情がないのに単に労働意欲を欠いているなどの主観的な事情によって本来の稼働能力を発揮しておらず,そのことが養育費の分担における権利者との関係で公平に反すると評価される場合に初めて,義務者が本来の稼働能力(潜在的稼働能力)を発揮したとしたら得られるであろう収入を諸般の事情から推認し,これを養育費算定の基礎とすることが許されるというべきである。」

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