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2017年9月

2017年9月22日 (金)

婚姻費用調停や面会交流調停は不成立になると審判に移行します

離婚はいきなり裁判にもっていくことができず、調停をまずは起こさなければならないのが原則です。これを専門用語では「調停前置主義」と言います。「主義」とは大げさな言い回しですが、法律家はこんな風にいうんですよね。専門用語ってやつです。法律用語にはこんな風な大げさな言葉が多いんです。


ところで、離婚調停には婚姻費用調停や面会交流調停が一緒に申立てることができます。このような調停を申立てるか、そのタイミングや申立て方をどうするかは代理人としてやっていますと難しい問題があり、それはそれでいろいろと考えなければならないのですが、本日はその点は置いといて、これら2つの調停(婚姻費用調停と面会交流調停)が調停不成立となったときにはどうなるのかについてお話し致します。

離婚調停ですと、不成立となったら、それで手続きは一旦は終わってしまいます。あとはどちらかが裁判(訴訟)を新たに起こさない限り手続きは途切れたままです。
調停に出した資料は裁判には引き継がれませんので、このようなことからも、手続きが途切れていることがお分かりになるかと思います。

婚姻費用や面会交流の調停は不成立となると、審判手続きに移行します。
この移行は自動的です。
自動的というのは、何も手続きが必要ないということです。
離婚の場合は、訴状を裁判所に新たに提出し直すという手続きが必要なのに、婚姻費用や面会交流の場合はそのような手続きが不要で、裁判官が判断する手続き(審判手続き)に移行します。

図式化すると次のようになります。
離婚調停⇒不成立 (手続きが断絶) 離婚訴訟をするには訴状を提出する
婚姻費用調停・面会交流調停⇒不成立⇒審判手続きに自動以降

婚姻費用調停や面会交流調停だと調停期日を延々と重ねてうんざりされる方がいらっしゃると思いますが、これは不成立となると裁判官が審判手続を行わなければならず、裁判官の負担が重くなるので、裁判官としてはできるだけ調停を成立させたいという考えがあり、なんとか成立するようにと調停委員に指示を出すからでしょう。


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2017年9月 8日 (金)

離婚裁判での陳述書

離婚の裁判では「陳述書」というものを証拠として提出することがあります。この陳述書というのはどういうものかというと、供述を書面にしたものです。離婚裁判ですと、こんな感じの書き出しになります。

  陳述書
千葉家庭裁判所御中
 私は平成*年*月*日に夫と結婚し、平成*年*月*日に長女が生まれました。しかし、夫との仲がうまく行かなくなり、離婚を決意して、平成*年*月*日には私から家を出る形で別居となりました。
 今回離婚の裁判となっておりますので、その理由について陳述致します。
(以下、略)

この陳述書を書くのは、たいてい弁護士です(弁護士が代理人としてついていることがほとんどですので)。弁護士が書く文章ですから、不自然極まりない文章になったりします。
 上に例としてあげた陳述書の書き出しスタイルは多くの弁護士が採っているものですが、「私は」で始まり、一人称で自らの体験を滔々と語るというものですが、そのような文章はほかにはお目にかかりません。

私にはどうもこのスタイルが馴染めないため、弁護士と当事者との会話というスタイルにしています。

(弁護士)戸籍の全部事項証明書を見ますと、○○さんは平成*年*月*日に**さんと結婚し、平成*年*月*日にご長女が生まれていますね。
→ はい。
(弁護士)○○さんとは今同居されていますか。
→いいえ。夫婦の関係がうまくいかなくなり、*年*月*日に別居しています。
(以下、略)

このようなスタイルも不自然といえば不自然ですが、わかりやすさ、読みやすさという点からすれば「私は・・・」で始まる一人称スタイルよりも良いのではないかと思っています。


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2017年9月 2日 (土)

結婚前の嘘は法律上どう考えられるでしょうか?

恋愛をしているときというのは、自分をよく見せようという心理が働くものです。結婚した後に、言ってたことと違ったことがわかったとなると、夫婦間では喧嘩になること間違いなしです。
夫婦喧嘩をしてもよく話し合って、少々オーバーな表現はあったかもしれないけれど、まあ仕方ないと元の生活を取り戻せればよいですが、それがもとで何か法律上できませんかねということになりますと穏やかではありません。

婚姻前に話したことが嘘であった。言うべきだったことを言ってなかったではないかということは、離婚の案件を担当していますと、時々問題になりますが、法律上はどう考えるべきなんでしょうか。

婚姻前の嘘ということになると、一つ考えられるのは婚姻取消しという制度です。
民法上は「詐欺又は強迫によって婚姻をした者は、その婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる」と規定されています(747条1項)。
さて、ではここでいう「詐欺」とはどの程度のことをいうのかです。この言葉をゆる~く解釈してしまいますと、婚姻の取消しというのがどんどんできてしまいます。取消しというのは、一旦成立したものの効果をなくしてしまうものです。ましてや婚姻をすれば子どもが生まれることもありますし、いろいろな法律上の関係が積み重なってしまいますから、そうそう簡単に取消しを認めるわけにはいかないように思います。
そんなことを考えてのことなのでしょう。法律家はここでの詐欺は、人の属性について虚偽の事実を告げたり、不利な事実を黙秘するものだが、そういう行為の中でも「一般人について相当重要なものとされる程度の錯誤に陥ったこと」が必要だと言っています。相当強度な違法性が必要だということです。
実際の例を挙げたいのですが、ほとんど裁判例がないようです。昭和13年判決という古い判決がよく引き合いに出されています。
仲人から男性は薬剤師で、月給90円と聞いて結婚したのに、薬剤師の免許もなく、また月給は70円だったというケースがあり、詐欺での取消しは認められていないという裁判例があります(東京地裁昭和13年6月18日判決)。
私の感覚でいうと、だいぶ酷いケースのような気もするのですが、まあ、そういう裁判例があるのです。ただ、この婚姻の取消権というもの、詐欺だということがわかってから3ヶ月以内に取消しを請求しなければなりません(民法747条2項)。そういう意味では取消しというのは、はなはだ使いにくい制度で、裁判例がほとんどないのは、この3ヶ月という期間にも理由があるのかもしれません。

そうすると何もできないのではないかと思われるかもしれませんが、私はこの問題は離婚原因との絡みで問題とすることはできると考えています。

婚姻生活は全人格的なものです。結婚前の浮気を知ったことで、それまでに夫婦が築いてきたお互いの信頼関係は壊れてしまうのが通常ではないでしょうか。
嘘を言われた方は信頼関係がなくなったことを相手に伝え、今後の夫婦関係を考え直していくことになるかと思います。そのような話し合いをして信頼関係が回復すれば、婚姻関係は続いていくことでしょう。しかし、不幸なことに、相手が嘘ばかりついて自分を守ろうとしているとか謝罪をしないということであれば、お互いの信頼関係は壊れていき、婚姻関係は破綻へと向かっていくのではないかと思います。

このように結婚前の嘘といったできごとを今すぐに離婚原因とすることはできませんが、そのことをきっかけに話し合いをしたその結果は、離婚原因の一つとなっていく可能性があります。

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