離婚訴訟

2017年9月 8日 (金)

離婚裁判での陳述書

離婚の裁判では「陳述書」というものを証拠として提出することがあります。この陳述書というのはどういうものかというと、供述を書面にしたものです。離婚裁判ですと、こんな感じの書き出しになります。

  陳述書
千葉家庭裁判所御中
 私は平成*年*月*日に夫と結婚し、平成*年*月*日に長女が生まれました。しかし、夫との仲がうまく行かなくなり、離婚を決意して、平成*年*月*日には私から家を出る形で別居となりました。
 今回離婚の裁判となっておりますので、その理由について陳述致します。
(以下、略)

この陳述書を書くのは、たいてい弁護士です(弁護士が代理人としてついていることがほとんどですので)。弁護士が書く文章ですから、不自然極まりない文章になったりします。
 上に例としてあげた陳述書の書き出しスタイルは多くの弁護士が採っているものですが、「私は」で始まり、一人称で自らの体験を滔々と語るというものですが、そのような文章はほかにはお目にかかりません。

私にはどうもこのスタイルが馴染めないため、弁護士と当事者との会話というスタイルにしています。

(弁護士)戸籍の全部事項証明書を見ますと、○○さんは平成*年*月*日に**さんと結婚し、平成*年*月*日にご長女が生まれていますね。
→ はい。
(弁護士)○○さんとは今同居されていますか。
→いいえ。夫婦の関係がうまくいかなくなり、*年*月*日に別居しています。
(以下、略)

このようなスタイルも不自然といえば不自然ですが、わかりやすさ、読みやすさという点からすれば「私は・・・」で始まる一人称スタイルよりも良いのではないかと思っています。


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2017年3月 5日 (日)

離婚裁判。するかしないか、それが問題

別居期間が3年~5年あれば、それだけで法律上の離婚原因(判決で離婚が認められる)になるのですが、別居期間がそれよりも短いときに、裁判まで踏み込むかどうか、これはかなり悩ましい問題です。

別居期間が短くても、配偶者に離婚原因(例えば、不貞)があることを立証できれば良いのですがこの「立証」というのが厄介です。ここで、「証拠」という問題が出てきます。

弁護士サイドとしては、決定的な証拠があれば、”この件は確実に勝てる”という判断になりますが、そうでない場合、かなり迷います。一つには、その証拠を突きつけた場合、配偶者側がどういう主張をするのかわからないこと、もう一つは、裁判官がどう判断するのかが読みきれない。

例えば、LINEでどうみてもラブラブにしか見えないやりとりをしている証拠があるとします。ただ、普通こういうやりとりではエッチをしたことなんかはそのものズバリは書かれていませんよね(たまに、そのものズバリが書かれていることがあり、びっくりしますが)。

その証拠をもとに裁判をしたとします。配偶者側が「その人とは不倫してました、ごめんなさい」と言ってくれれば、こちら側の勝ちです。何ら問題なく離婚が認められますし、慰謝料も認められるでしょう。しかし、「それは恋愛ごっこのやりとりをしていただけで実際は何もしていない。」と主張されたらどうでしょう。
そう主張されてしまうと、最終的には裁判官がどう判断するのかが問題となってきます。

裁判例が積み重ねられているものについては、予測は可能なのですがね。しかし、全ての裁判例が公にされているわけではありませんし、言い訳というのは、モグラ叩きのように、一つがだめとなると、また別の言い訳がでてきますから、裁判例というものは追いつけず、裁判官がその場その場で判断するということになります。

ということで、裁判官の判断は読み切れないのです。裁判官自身、判決を書いているときに気が変わることもあるでしょうから。そうすると、このような状況においては歳版をするかどうかは”賭け”のような感じにもなってきます。勝てるかどうかわからない、勝つかもしれないが、負けるかもしれない、それでもやってみるかと。

もっとも、裁判というのは判決だけではないのですね。和解(合意)という終了手段があります。裁判をやり始めたときは合意なんてできなさそうだったのに、結局和解で終わったというケースは結構あります。判決と和解は一審では半々くらいです。意外と和解は多い。

タイトルで「離婚裁判。するかしないか、それが問題」と掲げておきながら、こんな程度しか書けないのですが、物事には勢いというものがあって、法律上は離婚原因が問題になりそうでも、結局相手が争わずに終わるということはかなりあります。

以上述べた点は弁護士によっても考えにかなり幅があるところだと思います。
特に証拠の見方というのは、慎重派からすれば、固く考えますし、私は割りと勢い重視派なので、立証の問題を見据えつつも、今の流れを踏まえて判断することの方が多いです。

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2017年2月19日 (日)

不貞をしていること=有責配偶者とは限りません

「有責配偶者」となると、法律上いろいろ難しい問題が生じます。
「有責配偶者」になってしまうと、離婚が認められるのがかなり厳しくなるのですよね。判例上は、相当長期の別居(少なくとも5年以上)、未成熟子がいないこと、配偶者が精神的・経済的過酷な状況とならないことの3つの要件が必要です。

「有責」の代表例は不貞ですね。ただ、一方の配偶者が不貞をしたからといって、「有責配偶者」にあたるかというと、そうでもない場合もあるというのが、法律実務の難しいところです。

まず、不貞を立証できるのか?という問題があります。証拠によって不貞を証明する必要があります。相手が不貞を認めてくれればよいのですが、そうやすやすと認めない場合もありますから、証拠が必要です。

不貞の立証のほかにも、こんな問題があります。自分の方にも、離婚原因となるような責任がないのか、という問題です。例えば、夫のほうが暴力・暴言をまずしてしまって、それで妻が不貞をしたというような流れだと、夫にも妻にも離婚の原因がありそうです。

こういう場合に、妻は「有責配偶者」となるのでしょうか?私は、ならないと思います。「有責配偶者」とは、”離婚原因につき専ら責任のある一方当事者”のことをいいます。「専ら」というのがポイントです。先のケースでは、夫がまず暴力を奮っていますから、夫にも責任があるともいえます。

もちろん妻も不貞をしてしまっているので、責任はありますから、双方に離婚原因があります。こういう場合は、どちらも「有責配偶者」とはいえません。このように離婚原因が配偶者のどちら側に主にあるのかがポイントなので、「双方ともに有責配偶者」という状態はないことになります。つまり、離婚原因が相手にもあるので、離婚は認められます。

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2017年1月22日 (日)

不貞慰謝料は破産すれば支払わなくてもよいか

被告側(不貞をした側)が破産手続きをしたら、慰謝料請求は免責となるのかどうか問題になった裁判例がありました。

東京地裁平成28年 3月11日判決です(判タ 1429号234頁)。

この判決では、免責になる(=不貞をした側は支払わなくてよくなる)との判断です。

破産法では「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」(253条1項2号)は免責されないと書かれています。この規定の「悪意」の解釈が学説上は議論されており、”故意を超えた積極的な害意をいう”というのが通説の解釈で、東京地裁もこの点については同様の判断でした。

とはいっても、不貞での積極的な害意とは何か?ということが問題となってきます。

判決は、積極的な害意があったかについて否定しました。
理由はこうです。
不貞行為の態様及び不貞関係発覚直後の対応などからすると不貞行為の違法性の程度が低いとは到底いえないけれども、一方的に配偶者を篭絡して家庭の平穏を侵害する意図があったとまで認定することはできないからだと。

つまり、慰謝料請求をする側からすると、「一方的に配偶者を篭絡して家庭の平穏を侵害する」ということまで立証しなければならないことになります。これはかなり厳しいです。破産者からすれば、そこまでの事案でなければ免責されることになり、比較的広く免責になるでしょう。
事例判断なので、全ての不貞慰謝料が免責されるわけではなさそうです。
また、一裁判官の判断なので、この考えが全ての裁判官に支持されるかどうかは今の時点ではなんとも言えませんが、今後この点を考えていく上では、参考となる判決です。

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2015年12月 7日 (月)

不貞訴訟

不貞に関する訴訟は、私が駆け出しのころ(20年前)にもあることはあったのですが、現在ほど数が多くはありませんでした。

最近では数が多くなり、裁判官の論文にも「近時、配偶者の不貞の相手方に対する慰謝料請求訴訟が増加し、過払い金返還請求訴訟、交通損害賠償請求訴訟につぐ主要な訴訟類型とも言いうる状況にある」とコメントされているほどです(2008年の論文)。

不貞に関する訴訟で最も多いは、配偶者の不貞の相手方に対する慰謝料請求訴訟です。
妻が原告である場合は、女性を被告として、夫が原告である場合は、男性を被告とするという訴訟が多いのです。

自分の配偶者に対して慰謝料請求を起こすということはほとんどありませんでした。配偶者との関係は離婚の問題と直結しますので、離婚の請求と合わせて慰謝料が問題とされることが多いのだと私は理解してきました。

しかし、最近では、離婚を拒否しながらも不貞をした配偶者を被告として慰謝料請求するというケースが表れています。

配偶者に訴訟をするというのは、どう考えても円満な夫婦関係であるとはいえませんので、この類型を担当する裁判官の中には、請求をしている原告に対して、「どのような解決をお望みなのですか?」と困惑を隠せないといった質問をする方もいます。

法律家は、訴訟=権利の実現という図式的な教育を受けているので、そのような発言となるのでしょう。

私は、そういう一見矛盾するように見えるものの中に、日本人の裁判についての考え方が見えるのではないかと考えています。
日本人が訴訟に求めるものというのは、「権利の実現」といったものにとどまらず、自分なりの正義感情を満たすという目的があるような気がします。

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2013年10月 2日 (水)

別居2年で離婚を認めなかった裁判例

 別居期間2年であるのに,妻からの離婚請求が認められたなかったケースがありますので紹介します(東京高裁平成25年4月25日判決 ウエストロージャパン)。

 夫婦は結婚してから約12年半で別居。子どもはいませんでした。

 妻側は離婚訴訟で,夫に不貞行為があると主張しました。実際,夫は特定の女性とチャットをしたり,一度女性のところに会いに行ったりしています(夫もこのことを認めています)。

 裁判所は,「夫のそのような行為は妻に不信感を抱かせるものではあるが,その後10年もの間,特に大きな問題もなく結婚生活を続けていたのであるから,そのような行為を現時点では離婚原因とすることはできないし,不貞については証拠がない」と判断しました。

 また,夫は妻の母に対して足を2回蹴るなどしているのですが,裁判所は,

 ・この暴行以前に夫には粗暴な言動がない

 ・夫のこのような行為について妻が精神的衝撃を受けるのはもっともなことだが,暴行が行われる直前に夫の父が入院するといった事情があり,夫はそのような暴行を繰り返しているわけではないので,夫の暴行で婚姻関係が破綻したとはいえない

と判断しています。

 このように,夫の行動には問題がないとはいえないのですが,夫婦関係が長年ににわたって安定していたことを重視し,2年程度では破綻とはいえないと判断しているのです。

 別居して何年で離婚と認められるのかというのは,一概には言えない大変難しい問題です。3年前後としている考えも示されていますから,2年という期間は非常に微妙なところだったといえます。

 離婚できるかどうかは別居の期間だけでなく,夫婦関係がどのような経緯をたどってきたのかという点も重視されます。

 この点については,立証の問題もからみますので,訴訟に進むべきかどうかについては,慎重な検討が必要です。一度,弁護士にご相談をされることをお勧めします。


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2013年2月12日 (火)

配偶者が犯罪を起こした場合と離婚原因

夫婦の一方が犯罪を犯し服役した場合に、離婚は認められることが多いと思います。

窃盗等の犯罪を犯して実刑判決をうけた夫に対して、妻が離婚訴訟をしたケースがあります。
名古屋高裁昭和51年 6月29日判決(判タ 344号233頁) 判決では、

1 夫は、妻との婚姻継続を強く望むものの健全な仕事により収入を得ようとせず、いわゆる白タクをやろうとして、自動車窃盗などの犯罪行為を重ねて実刑判決を受けた。このようなことは社会的にも容認されない。

2 家計は経済的にも破綻し、妻子の扶養にも不自由していた。夫は妻を実家に残して、近隣、近県に職を求めて、別居生活が続き、両名の気持は遊離してゆき、妻はついに離婚を望むようになつた。
 そのような中で夫は逮捕され、実刑判決を受けた。
 これにより婚姻生活は破綻した。
とされています(要約)。

犯罪を起こしたことだけでなく、妻の生活の困難についても述べていますが、夫が犯罪を犯せば、多かれ少なかれ妻は生活に困るのが普通ですから、そのような事情を主張していけば、裁判所も離婚を認めるということがいえると思います。

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2012年6月13日 (水)

不貞行為の立証

配偶者が不貞行為をしているということは、離婚原因になります。
また、慰謝料も請求できます。

難しいのは、不貞行為をどうやって立証したらいいのか、どこまでの証拠があれば、立証したといえるのかです。

ある本(「離婚調停」秋武憲一)にはこのように書いてあります。

「1 相手方が認めている場合や不貞行為の現場の写真・ビデオ等がある場合以外は非常に困難
 2 携帯電話やパソコンのメールの内容等により密接な交際をしていることが明らかであったとしても、性的関係をもったか否かについては判然としないことも少なくない」

さらっと書かれていますが、次のようにいえます。

不貞行為を第三者が見るということは、まずありませんから、それを直接的に言える人は、不貞行為をしている男女ということになります。

よって、不貞行為をしている配偶者かその相手方が認める供述をしている場合は、その供述が信用できるものであれば、不貞行為を裁判所に認めさせる有力な証拠となります。

当事者が否定している場合は、不貞行為を直接立証することは出来ません。
その場合は、間接的な証拠から立証していくしかないわけです。

間接的な証拠の中でも最も有力な証拠は、不貞行為の現場の写真・ビデオです。
もちろん、不貞行為そのものは撮れませんから、不貞行為の現場(例えば、ラブホテル)に入る写真、出たところの写真があれば、非常に有力な証拠となるわけです。

それ以外のものとなると、不貞行為の立証というところまでは、裁判所を説得できない可能性が高いです。
携帯電話やパソコンのメールで不貞行為を立証できるかというと、それは難しい。
なぜなら、メールは曖昧な言葉で書いていることが多く、密接な交際をしているということは立証できても、性的関係までは言えないという結論を裁判所としては取るからです。

 このようなことから、
  相手方が認めている場合や不貞行為の現場の写真・ビデオ等がある場合
が不貞行為の立証の中心となるわけです。

それでは、携帯電話やパソコンのメールというのは役に立たないのかというと、そんなことはありません

先ほどの本でも
 「このような場合は、不貞行為とはいえないとしても、『婚姻を継続しがたい重大な事由』にあたる」
としていますので、これを離婚原因とし、慰謝料請求をすることは可能となってきます。

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2012年3月28日 (水)

離婚した後、夫所有の家に住み続けることができるか

次のような事案の場合、妻子は夫の家に住み続けることができるでしょうか。

1 夫名義で住宅を購入した(住宅ローンあり)
2 夫婦で離婚の話し合いになり、夫が居住地から出ていき、別居となった(妻子は引き続き夫の住宅に居住している)
3 夫が離婚訴訟を起こし、裁判所が離婚を認めた。
4 夫は、妻子に対して住宅から退去するよう求めている

この問題について
東京地裁平成23年 3月24日判決(ウエストロージャパン)は、
「妻は住宅から退去しなければいけない。」
という結論を出しています。

その理由としては、
「離婚判決の確定により,被告は本件建物の占有権原を失ったことが認められ,離婚に際し,新たな占有権原が設定されたなどの事情も認められない。」
と述べています。

 これはどういうことかというと
1 離婚するまでは、妻は住宅に住む権利を認められているが、離婚が確定したことで住む権利がなくなるのが原則
2 離婚に際して、新たに住宅に住む権利を獲得していれば別だが、そのような権利を獲得していない
ということです。

つまり、妻側から見て、住宅から追い出されないためには
1 離婚を防ぐこと
2 離婚が防げない場合は、財産分与などの名目で住宅に居住できるようにすること
のどちらかの策を取らなければならないわけです。

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2012年3月22日 (木)

夫婦の一方によるツイッターへの書き込み行為を理由に慰謝料請求できるか

夫婦の一方によるツイッターへの書き込み行為を理由に慰謝料請求できるか

 この問題について、東京高裁平成23年 9月29日判決(ウエストロー・ジャパン)が答えています。

 書き込みをした方=A,書き込みをされ方=Bとして判決文を要約してみます。

 ・書込みの内容は,Bに対する不満とBがした暴力(Aに対するもの)についてのもの(なお、ツイッターには実名は書かれていない)。
 ・Aは、これらを書き込んだことで、ツイッター上の結びつきのある仲間を対象に,自らの被害感情を訴え,Bを誹謗する言葉を発して,同情と共感を求め,Bに対する不満や否定的な感情を発散させていた。
 こういう場合であっても、
 ・著名ではない一般人によるツイッター上の書込みは,特にその内容が特殊なものでない限り,不特定多数の利用者の関心の対象とはならないと考えられることも考慮すると,Aによる上記書込みの行為は,Bの名誉や感情を侵害する違法な行為として評価するには足りない
 ・よって,Aのツイッターへの書込みには慰謝料請求できない

 要するに、
 一般人がツイッターに書き込んだ場合は、原則として違法行為とまではいえない(=慰謝料請求できない)。
 但し、内容が特殊で不特定多数の人が関心の対象となった場合は別(この場合は慰謝料請求できる)
ということになります。

 ツイッターについての裁判例ですが、ブログについても同じことが言えます。
 東京高裁判決では慰謝料請求は否定されていますが、ツイッターの書き込みが離婚の原因の一因になったことは認めており、ブログやツイッターを書く場合は、その辺まで考えて書かなければならないということになります。

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