財産分与

2013年3月29日 (金)

オーバーローンの住宅の処理

オーバーローンの住宅がある場合に、財産分与としてどのように処理をすべきかはかなり難しい問題です。

例えば、100%夫名義。不動産の時価が2000万円で、住宅ローンとしては3000万円残っているという場合。
不動産だけが夫の財産だとすると、夫は
 2000万ー3000万=ー1000万円
というマイナスの財産をもつと計算します。
妻の財産が0円だったとして、夫は妻に500万円(1000万円の半分)を請求できるかというような問題があります。
このような請求は認めないというのが現在の裁判所の基本的な態度です。
ですので、財産分与は行われず、財産移転はないということになります。
参考文献
 「財産分与と債務」(松谷判事;判例タイムズ1269号)

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2012年12月12日 (水)

財産は当事者がはっきりさせる必要があります

離婚にともなって財産分与が問題となります。
財産分与の前提として、夫婦間にどのような財産があるかということを明確にする必要がありますが、その作業は当事者が行わなければなりません。
ものの本には、
「夫婦間の財産については、当事者が一番よく知っており、しかも、利害関係を有しているので、当事者が財産分与の対象となる財産が存在することを主張しなければなりません。家庭裁判所や調停委員会が対象財産を探すことはできませんし、しません」と書かれています(「離婚調停」秋武憲一)。
離婚というのは、夫婦間の不信感がマックスになっているので、「もっと財産があるはずだ」とか「ちゃんと家計管理をしていれば預金がたまっていたはずなのに、たまっていないのは、相手のせいだ」というような言い分がなされることが往々にしてあるのですが、具体的に財産がなければ法律上は意味がありません。
裁判所の考え方を前提とすれば、「離婚をお考えになるのであれば、日ごろから相手の財産にどのようなものがあるのかを気をつけておいてくださいね」ということになります。
実際の夫婦はお互いの財産を見せ合うほどではないケースもありますが(例えば、一方が一切財産状況を明らかにしないという夫婦はそこそこ見かけます)、離婚調停の現場はこのような考え方ですから、当事者の努力により打開するほかはありません。
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2010年7月20日 (火)

夫婦共有財産の持ち出し

 離婚前提で別居したときに、妻が夫の財産の一部を持ち出すということはよくあることですが、このようなときに、夫は妻に対して損害を被ったとして損害賠償請求ができるでしょうか。

 このようなことが問題となったケースとして、
  東京地裁平成 4年 8月26日判決(家月 45巻12号102頁、判タ 813号270頁)があります。

 同判決は、
  基本的には、損害賠償請求は認めない
としています。
 なぜ損害賠償請求を認めないのかといえば、夫婦で築いてきた財産は夫婦共有財産であって、財産分与で決着をつけるべきだからということになります。

 その箇所を引用します。
 
 「民法七六二条一項によれば、婚姻中一方の名で得た財産はその特有財産であるとされているが、夫婦の一方が婚姻中に他方の協力の下に稼働して得た収入で取得した財産は、実質的には夫婦の共有財産であって、性質上特に一方のみが管理するような財産を除いては、婚姻継続中は夫婦共同で右財産を管理するのが通常であり、婚姻関係が破綻して離婚に至った場合には、その実質的共有関係を清算するためには、財産分与が予定されているなどの事実を考慮すると、婚姻関係が悪化して、夫婦の一方が別居決意して家を出る際、夫婦の実質的共有に属する財産の一部を持ち出したとしても、その持ち出した財産が将来の財産分与として考えられる対象、範囲を著しく逸脱するとか、他方を困惑させる等不当な目的をもって持ち出したなどの特段の事情がない限り違法性はなく、不法行為とならないものと解するのが相当である。」

 さきほど、
 基本的には、損害賠償請求は認めない
と申し上げましたのが、当然例外があります。

a 持ち出した財産が将来の財産分与として考えられる対象、範囲を著しく逸脱する
b 他方を困惑させる等不当な目的をもって持ち出した
ときには、損害賠償を認めることになります。

ですから、
 当面の生活費ということで持ち出した場合→損害賠償請求は認められない(この判決によれば)
 どさくさに紛れて夫の財産を全部持ち出した場合→損害賠償請求は認められる
ことになるでしょう。


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2009年11月 6日 (金)

財産分与~婚姻費用の清算

財産分与を決めるに当たって、婚姻費用の清算をすることができます。
夫が離婚までに生活費を支払っていない場合は、夫は、離婚に際して婚姻費用を清算しなければなりません。

婚姻費用とは、離婚までの生活費です。

以前、参照したことのある
東京高裁平成12年 3月 9日判決
で、この点について考えてみましょう。

 考慮要素として、東京高裁判決は、まず、当事者双方の収入を考慮しています。
 
 夫側・・・月額約49万円(交通事故の休業損害ないし逸失利益相当の金員)
 妻側・・・月額約9~10万円

 次に、妻側の生活費について検討しています。

 妻及び子供二名の生活費・・・最低でも月額約28万円(長男が大学生、長女も高校に進学)

 以上から、夫側の負担すべき婚姻費用は
  毎月15万円
とし、財産分与として700万円を認めています

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2009年11月 4日 (水)

交通事故の被害者と財産分与(東京高裁平成12年 3月 9日判決)

以前、
交通事故で得た損害賠償金と財産分与
http://houritu-daichi.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-d61b.html
ということで、記事を書きました。

 そこでは、大阪高裁決定を紹介しました。

大阪高裁平成17年 6月 9日決定(家月 58巻5号67頁)。
(結論)
交通事故の損害賠償金のうちの
 慰謝料部分→財産分与の対象にならない。 
 逸失利益部分→財産分与の対象になる(ただし、離婚後の逸失利益相当額については財産分与の対象にならない)

この大阪高裁決定では、慰謝料と逸失利益について判断しているのですが、交通事故との絡みでそのほかの点についても判断している裁判例をみかけましたので、紹介します。

東京高裁平成12年 3月 9日判決(ウエストロージャパンのオンライン判例搭載~会員限定)
(結論)
休業損害→財産分与の対象になる
年金(障害厚生年金及び国民年金の障害基礎年金)→財産分与の対象にならない
治療費、付添看護費、入院雑費、看護交通費及び器具等購入費→財産分与の対象にならない

 おおむね妥当な結論かとは思いますが、付添看護費を財産分与の対象とならないとしたことは、個別のケースに応じては問題があるかもしれません。

 この判決では、「付添看護費などは、現実の出捐に対応し、これを補填するものであって、財産分与の対象とはならないことは明らかである。」としているのですが、交通事故では、家族介護を付添看護費として算定するので、この場合、実際の費用としては支出されていないので、東京高裁の理屈からは外れてしまうからです。
 
 この点は、今後の課題かもしれません。 

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2009年10月28日 (水)

交通事故で得た損害賠償金と財産分与

 離婚には財産分与の問題が生じます。

 当事務所では交通事故の案件を扱うことも多いのですが、交通事故で得た損害賠償金が離婚に際してどのように財産分与されるのかは問題のあるところです。

 例えば、夫が交通事故で後遺障害を負い、損害賠償金を得た後に、離婚となった場合、損害賠償金はどのように財産分与されるのかという問題です。

 裁判例を紹介しておきます。

大阪高裁平成17年 6月 9日決定(家月 58巻5号67頁)。
(結論)
交通事故の損害賠償金のうちの
 慰謝料部分→財産分与の対象にならない。 
 逸失利益部分→財産分与の対象になる(ただし、離婚後の逸失利益相当額については財産分与の対象にならない)

 慰謝料というのは、怪我や後遺障害を負った人自身の精神的苦痛を金銭によって賠償するものですので、交通事故の被害者自身のみに関係するのであって、配偶者は関係ない
 逸失利益部分は、労働の対価に相当する部分ですから、財産分与の対象になる(ただし、別居や離婚までの間に相当する部分に限定される)
 という考えにたっているのではないでしょうか。

 実際の決定では、以下のように記載されています。

 財産分与の対象財産は、婚姻中に夫婦の協力により維持又は取得した財産であるところ、上記保険金のうち、傷害慰謝料、後遺障害慰謝料に対応する部分は、事故により受傷し、入通院治療を受け、後遺障害が残存したことにより相手方が被った精神的苦痛を慰謝するためのものであり、抗告人が上記取得に寄与したものではないから、相手方の特有財産というべきである。
 これに対し、逸失利益に対応する部分は、後遺障害がなかったとしたら得られたはずの症状固定時以後の将来における労働による対価を算出して現在の額に引き直したものであり、上記稼働期間中、配偶者の寄与がある以上、財産分与の対象となると解するのが相当である。

 あと、参考までに大阪高裁決定の算定の仕方もあげておきます。

 本件においては、症状固定時(記録によれば、相手方は、○△□大学病院脳神経外科で、一旦、頭部外傷の症状が平成14年2月4日に固定したと診断されたが、その後の経過から、同病院で、同年12月9日、改めて症状が固定し、大脳萎縮の亢進があり記憶障害など高次脳機能障害が残存したと診断されたことが認められ、症状固定日は同年12月9日と認めるのが相当である。)から、離婚調停が成立した日の前日である平成15年9月18日までの284日間の分につき財産分与の対象と認めるのが相当である。
 以上を前提に、上記期間の逸失利益相当額を算定すると、次の計算式のとおり概ね307万1626円となる。
 515600円×12×0.67×0.9523×284÷365=3071626円

 このように財産分与の基礎となる金額を算定したうえで、配偶者に概ね2分の1に当たる金額である154万円を認めています。

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