婚姻費用

2017年2月 5日 (日)

配偶者の収入をどうやって調べるか(含;潜在的稼働能力)

婚姻費用や養育費の請求では、配偶者双方の収入が問題となります。

世の中にはいろいろな方がいて、中には、配偶者に全く収入を教えないという人もいますが、こういう場合は、なかなか困ってしまいます。

市役所で、所得証明とか課税証明という名前で、収入の証明書を発行してもらうことができる課があるのですが(市民税課)、ここで配偶者の所得証明を取得できれば、この問題は解決します。

ただ、別居して住民票が別にしてあると、この所得証明書というものは取ることができない扱いになっているので、その場合は配偶者の収入をどのように考えるかという難しい問題がでてきます。

配偶者が会社に勤務しているのであれば、会社に照会するという手がなくはないですが(回答してくれるかどうかまでは保障できませんが)、自営業者とすると打つ手が限られてきます。

また、この間までは働いていたけれども辞めてしまったというような場合はどうするのかという問題もあります。

こういう場合に、潜在的稼働能力論という考え方があります。これは、 実際には働いていないのに統計(賃金センサス)を用いて収入を認定する手法をいいます。

しかし、この潜在的稼働能力論を、安易に用いるなという決定がでてしまいました(東京高裁平成28年1月19日決定・判例タイムズ1429号)

 原審(東京家裁立川支部)は、元夫(子からみて父親)の収入を賃金センサスを用いて認定したのですが、東京高裁はこれを取消し、立川支部に差し戻しました。養育費は実際に得ている収入で算定するのが原則という立場からです。
東京高裁は、潜在的稼働能力論を用いるのは例外だと。例外に当たる場合は限られているから、それに当たるかどうかきちんと判断しなければいけないよ、立川支部の審判はそれをしてないじゃないか、といっているのです。

 難しい表現になっていますが、東京高裁が述べるところをあげておきます。
「養育費は,当事者が現に得ている実収入に基づき算定するのが原則であり,義務者が無職であったり,低額の収入しか得ていないときは,就労が制限される客観的,合理的事情がないのに単に労働意欲を欠いているなどの主観的な事情によって本来の稼働能力を発揮しておらず,そのことが養育費の分担における権利者との関係で公平に反すると評価される場合に初めて,義務者が本来の稼働能力(潜在的稼働能力)を発揮したとしたら得られるであろう収入を諸般の事情から推認し,これを養育費算定の基礎とすることが許されるというべきである。」

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2012年12月 4日 (火)

婚姻費用の請求はいつからできるか

婚姻費用(生活費)を請求しようとするとき、いつからできるか?
これはよく聞かれます。
裁判所は
  「申立をしたときから」
とします(審判での判断)。
別居したときからではないのか?と疑問に思われる方もいるでしょうが、そうではなく申立をしたときからなんだという説明はものの本によると次のように言われます。
1 婚姻費用は生活費のこと。別居すれば、相手が困るってことは夫婦であればわかるんだから、別居時から請求できるという考え方もありうるとこと。
2 しかし、婚姻費用を支払う方からすれば、請求を受けて初めて、相手が扶養を要する状態だということを知ることも少なくない。
また、何年も経ってから、一度に請求されても、支払うほうがこれを全部支払わなければならないというのはいささか酷。
3 だから、請求があった時(通常は、朝廷の申立をしたとき)からの婚姻費用を裁判所は認めることにする。
審判での文言だと、「公平の見地から」としか書かれていない事が多いですが、その内容は、上記のようなことです(参考文献 秋武憲一著「離婚調停」)
裁判所がこのように判断しているとなれば、婚姻費用の調停を起こすのは早ければ早いほどよいということになります。
別居したらすぐに婚姻費用の調停を起こされたというようなケースを耳にしますが、それは裁判所のこのような運用を前提としています。



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2011年11月 3日 (木)

住宅ローンがある場合の婚姻費用(東京高裁決定)

住宅ローンがある場合の婚姻費用については、以前に記事で、広島家裁の裁判例を紹介しました。

2010年2月10日 (水)の記事


東京高裁の裁判例も出ましたので、紹介します。

東京高裁平成23年6月10日決定(ウエストロー;webでの判例集。有料です)

この東京高裁のケースは
1 夫が所有している家に現在は妻が住んでいる(夫は別居)
2 夫は、住宅ローンを全額支払っている(妻には住居費はかかっていない)
というものです。

こういう状況下では、
(夫の年収)ー(住宅ローンの支払額)
と妻の年収
を比較して、養育費算定表にあてはめなさい

という判断をしています(以前紹介した広島家裁とは算定方法が異なっています)。

住宅ローンがある場合の算定方法については、最高裁判例があるわけではないので、どのような判断をするのか、裁判所によって流動的です。

裁判官は、 
1 夫の自宅ローンは夫自身の負債の返済である
しかし、
2 自宅ローンを支払うことで住宅は夫の資産となる
という住宅ローンの2面性は認識しているのですが、その中でどのような計算方法をとるのかについて、まだ最高裁判例がないという状態です。

明らかにされた裁判例をもとにしながら、粘り強く主張を展開していくことが弁護士の役割となります。

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2011年10月14日 (金)

婚姻費用に関する最高裁判例

最近、最高裁で次のような内容の判例がでました。


”子ども手当の支給及び公立高等学校に係る授業料の不徴収は婚姻費用分担額に影響しない”

最高裁平成23年 3月17日決定
(家月 63巻7号114頁)

子ども手当が支給されているのだから、婚姻費用を減額するべきだという主張や公立高校の授業料がかからなかくなったのだから、その分婚姻費用を減らすべきだという主張をしても意味が無い
ということになります。

その意味では、婚姻費用を受領する側に有利な決定ということが言えます。

しかし、逆に言えば、これらの政策が変更されて、子ども手当がもらえなくなる、公立高校の授業料がかかることとなったとしても、婚姻費用を増額するということもできないことになるでしょうから、注意が必要です。

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2010年3月10日 (水)

婚姻費用分担と即時抗告

 前回の記事「婚姻費用請求の手続き」 で、婚姻費用の審判について、異議申し立て(即時抗告)ができるということを少し触れましたが、この点についてもう少し説明しておきます。

 妻が夫に婚姻費用請求をして、婚姻費用を認める審判がでたのに、夫が異議を申し立てた場合、妻が即時抗告をされてしまった、どうなってしまうのだろうと思われることが多いようですので、妻側の視点で見てみます。

1 即時抗告が出来る期間

 即時抗告は2週間以内にしなければならないことになっています。

 即時抗告がされたかどうか、家庭裁判所は連絡をすぐにはくれませんから、2週間経ったところで、家裁に電話をして、夫から即時抗告はされなかったのか、審判が確定したのかを確認する必要があります。

2 即時抗告されてしまった場合は、月額5万円を支払うように」との審判がでたとしても、即時抗告がされると、強制執行することはできません。

 即時抗告に、強制執行停止の効力があるからです。

 すぐに強制執行をする為には、婚姻費用の審判を求めるだけでは駄目で、「審判前の保全処分」を申し立てる必要があります。

3 いつごろ高裁で決定が出るですが、これは高裁の都合もあり一概にはいえません。
 以前「住宅ローンがある場合の婚姻費用」という記事で紹介した  
 広島家裁 平成17年 8月19日  審判
は、
 広島高裁では平成17年11月 2日
に決定がでているので、このケースでは3ヶ月弱で決定が出たことがわかります。

4 抗告の決定例は下記サイトにありましたので、興味のある方はご参照下さい。
http://okaguchi.at.infoseek.co.jp/kasaikokoku.htm

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2010年3月 7日 (日)

婚姻費用請求の手続き

1 別居したときに、夫が生活費をくれないというときは、婚姻費用の請求をすることができます。

 相手が話し合いに応じてくれなければ、裁判所で決めてもらう必要がありますが、その手続きはどうなっているのでしょうか。

2 通常は、
 婚姻費用分担の調停
を申し立てます。

 申立ての仕方などは、裁判所のHPに書いてありますので、そちらをご参照下さい。
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui/kazi/kazi_07_03.html

3 調停でも話し合いがつかない場合は、
  審判
になります。

 婚姻費用の場合は、調停が成立しないと自動的に審判に移行することになるので、新たな申立ては不要です。

 審判の手続きですが、裁判所で期日というものが開かれます。

 ここでは、当事者双方が参加することになっています。

 代理人(=弁護士)がいれば、弁護士だけが参加することもあります。

 期日では、裁判官が当事者双方に事情を聞きます。

 その上で、再度、双方に合意できないかどうかを確かめますが、調停でかなり話し合ったにも関わらず、合意に達しなかったのですから、なかなかこの時点でも合意は難しいのが普通です。

 合意ができないとなれば、裁判官は、
 「では審判をします」
ということで、裁判官が結論(もちろん理由も)を書いた審判書が送られてきます。

 いつ送られてくるかはその場では裁判官も言わないので、裁判官が決めたときとしかいいようがありません(当日でないことは間違いないですが)。

4 審判に対しては、不服申し立てが出来ます。

 これを即時抗告といいます。
 即時抗告の手続きなどについては、これも裁判所のHPに詳しく書いてありますので、そちらをご参照下さい。
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui/kazi/kazi_05_2.html

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2010年2月10日 (水)

住宅ローンがある場合の婚姻費用

離婚に際しては、婚姻費用の分担請求が問題になってきます。

婚姻費用というとわかりにくいですが、「生活費」と考えていただければほぼ間違いないです。

住宅ローンがある場合に婚姻費用をどう考えるかという問題点があります。

この点について、
 広島家裁 平成17年 8月19日  審判(判例タイムズ1208号93頁)
が参考になります。

結論
 1 夫が負担している自宅ローンは婚姻費用の特別経費としては考慮しない
 2 もっとも、夫がローンの負担をすることで,妻側の住居費の負担がなくなるという側面もあることは考慮する。

夫が負担している自宅ローンは婚姻費用の特別経費としては考慮しない理由ですが、
 1 夫の自宅ローンは夫自身の負債の返済である
 2 自宅ローンを支払うことで住宅は夫の資産となる
ことがあげられています。

 つまり、自分のもともとの債務なのだから、それを自分で支払うのは当然でしょう、それにローンを支払うことで、最終的に住宅はご自分のものになるんだから、そういう意味では、「特別経費」としては、婚姻費用から差し引きはしませんよ
 けれども、、実際、妻側に住居費の負担が無くなるという側面はありますから、その点は考慮しますよ
という考え方です。

 それでは、そのくらい考慮するかというと、このケースでは、
 算定表で算定すると、概ね月額21万円から23万円の範囲になるけれども、住宅ローンを負担していることを考慮して、下限である月額21万円が相当である
としています。
 
 考慮するといっても、この程度の考慮となります。 
 しかも、この審判では、「将来,申立人が自宅から退去を強いられた場合には,その時点で婚姻費用増額の理由となりうると考えられる。」と明言しています。

 住宅ローンを負担している側(多くは夫側でしょうが)からすると、住宅ローンも支払うし、そのほかに婚姻費用も支払わなければならないというかなり経済的にはきつい結果をとなります。
 
 このような結果を招くことから、離婚に当たっては住宅ローンをどうするかという問題が生じます。
 この問題は、住宅ローンがいわゆるオーバーローン状態(住宅を売却しても売却益がでない状態)のときに深刻な問題を生じます。
 離婚という側面だけでは、問題解決ができず、一種の債務整理の問題を生じますので、この点についての慎重な考慮を要します。

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